イエロージャイアントヒヨケムシ

イエロージャイアントヒヨケムシ
イエロージャイアントヒヨケムシ

見えたっ…!隙の糸っ…!

はろろ~ん!怪虫堂・店長のもじゃです!

ラストを締めくくるのはやはりこいつです!!

名称:イエロージャイアントヒヨケムシ

英名:Solifugid

学名:Galeodes sp.

全長10センチほどの、エジプトに生息する世界三大奇虫の一つ!

三大奇虫のなかでもひときわ異形の魔物のような外見をしており、エースのような立ち位置になっている。

しかしその生態はいまだ謎も多く解明されていない。

一番謎なのは有毒種報告についてである。

基本的に、ヒヨケムシは無毒であるというのが定説なのだが、1978年、インド産のRhagodes nigrocinctusという種において研究がなされた際、上皮腺という部位に毒があるという報告がされているのだ。

研究内容は、この種から抽出した毒をトカゲに注入したところ、10匹のうち7匹がマヒを起こしたというものである。

しかし他のヒヨケムシからは毒はおろか上皮腺自体発見されておらず、もし毒を有していたとしてもそれをどのように使うのかも判明していない。

研究はもうやっていないらしいが是非追試してみてほしいところである。

さて、肝心の飼育方法だが、これまた確立された飼育方法は見つかっていない。

故に飼育難易度は尋常ではない為基本的に1年以上の飼育は厳しい。

後述の方法が絶対とは言えないが先人の知恵を明記しておこうと思う。

まず、本種は乾燥系(ヒヨケムシ自体その殆どが乾燥系だが全世界に1000種以上いる為、多湿系が絶対にいないとは言い切れない)であるため床材は乾燥した砂とヤシガラ土をブレンドしたものを個体が潜れる程度に厚く敷くのがよいとされる。

湿度が高すぎると個体自体にカビが生えてしまい死に至る。

巣穴の中が60%前後になるようにはしたいがあくまでほどほどに控えめの加湿を心掛けたい。

掘っても崩れないように一度湿らせたものから水分を飛ばすという方法もよくとられているらしい。

水分に関しては、極めて小さく浅い水皿に水を入れ、数日に一度一晩入れておけばよく、湿度が高くならないように入れっぱなしはよくない。

給餌感覚はやせている個体には少し多めに与え、太い個体には適度なタイミングであげすぎないことが重要である。

餌を入れておいても殺すだけ殺して食べないことや、食べ残すことも多いので取り除いてあげよう。

野生にいるときは日光浴をしていることも多いのでケースにライトを照射してやってもいいかもしれない。

その場合は夜になったら電気を消してやると自然界の寒暖差が再現できいいかもしれない。

温度に関しては調べてみたが明確な数値が出なかった。
しかし原産が暑い地域のため26~28℃前後でいい感じもするが、飼育する際に数日に分けて温度調節をし、最適温度を見つけ出してみてほしい。

最後に繁殖に関してだが、申し訳ないが殆ど不可能だと思ってもらっていい。

輸入の際にすでに交接済みの個体が仔を産むことはあるが、飼育下での繁殖の成功例はいまだに聞いたことがない。

ヒヨケムシたちは第四脚の裏の付け根にラケット器官と呼ばれる三味線のばちのようなものが並んでおり、これが雄の方が比較的大きいとされている。

ラケット器官はサソリでいう櫛状板(ペクチン)と同じようなものであり地面の振動などを感じ取っている。

雄は雌を見つけるといきなり襲い掛かり、押し倒し強引に交尾をする。さながらレ〇プである。

その雌は巣穴で産卵し、卵がかえるまで巣穴を守る。

本種を含む大型の種は20~30個ほど産むらしいがもっと多い種もいるようだ。

さてここまで奇跡的に成功、または先述したように持ち腹で輸入された場合は仔が孵るまで行けた方もいるかもしれないがここからが本番だ。

孵化したヒヨケムシをまともに飼育するのは繁殖にも増して不可能に近い。

一回目の脱皮を迎える前にカビなどが生えて死んでしまうため非常に困難である。

強いて言うならばこまめに換気をしてやり、あとは神に祈るしかない。

いかがだっただろうか?

三大奇虫の中でもトップクラスの奇怪さと飼育難易度を誇るが、虫では珍しい縦に開閉する口でごりごりと捕食するシーンは迫力があってたまらない。

毒こそないが大型の種であると皮膚を貫通するほど咬合力が強いため注意してほしい。

昔、新潟県柏崎市にて、野生に放たれたヒヨケムシが発見されるという事件があったが飼育者として絶対にあってはならないことだ。

何を飼うにも、しっかりと飼育者としての自覚をもって飼うことが大事である。

それではまた次回!